住所等の変更登記の義務化と検索用情報の申出

query_builder 2025/03/21
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令和8年4月1日に施行される民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)により、所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったときは、その変更があった日から2年以内に変更登記の申請をしなければならなくなります。


申請義務違反をした場合は、5万円以下の過料に処されることになりますが、転勤等で住所が頻繁に変わる職業の方もいらっしゃると思います。転居のたびに住所変更の登記をするのは大変ですよね。


そうした事情を考えてのことと思いますが、あらかじめ法務局に申出をしておけば、登記官に職権で変更登記をしてもらえるという運用が始まります。


住所変更の登記の義務化とは!?

《法改正の内容》


民法等の一部を改正する法律による改正後の不動産登記法(以下「改正法」という。)は、令和8年4月1日に施行されます。


改正法では、所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所 (以下「住所等」という。)について変更があったときは、その変更があった日から2年以内に、住所等についての変更の 登記を申請しなければならず(第76条の5)、施行日以前に変更している場合も経過措置があり、変更があった日又は施行日のいずれか遅い日から2年以内に申請しなければなりません(改正附則第5条第7項)。


この義務を正当な理由なく怠ったときは、 5万円以下の過料に処されます(第164条第2項)。

《申出をすれば職権で登記される》


改正法には、所有権の登記名義人の表示について、申請によらなくても最新の状態に職権で変更することができる規定が置かれています。


ただし、登記名義人が自然人の場合は、当人から検索用情報の申出がされることが必要とされています(第76条の6)。


この申出手続の運用は、令和7年4月21日から始まります。


また、改正後の不動産登記規則第158条の39には、申出人は、国内に住所を有する者であることが条件となっています。


これは、住基ネット情報からの検索を前提にしているためと思われます。

《検索用情報とは》


改正後の不動産登記規則(以下「改正規則」という。)第158条の39に規定されている検索用情報は次のとおりです。


①氏名


②氏名のフリガナ(日本人ではない場合は氏名の表音をアルファベットで表示)


③住所


④出生年月日


⑤メールアドレス(メールアドレスが無い場合は、「メールアドレスなし」のようにして申出をすることになります。)


なお、⑤のメールアドレスは、住基ネット情報の検索で使用されるわけではなく、法務局が職権で変更の登記をするにあたり、所有権の登記名義人に連絡をすることに使用されるほか、申出手続完了の通知にも使用されます。

検索用情報の申出の方法

《所有権の登記名義人としての申出(検索用情報単独申出)》


次の条件が揃えば申出が可能です。


①令和7年4月21日時点で既に国内に住所を有する所有権の登記名義人でかつ自然人であること


②運転免許証、個人番号カード等の身分証明書の写し(電子申出の場合で電子署名及び電子証明書の提供がある場合を含む)の提供ができること


③登記事項中の住所及び氏名が、現在の住民票の記載と異なる場合で、かつ住基ネットからその経緯を確認することができない場合は、その経緯を確認することができる戸籍の附票等の提供ができること


上記③に該当しない場合は、申出情報が住基ネットの情報と一致するので、住民票等の提供は不要となっています。


上記③については、戸籍の附票等が廃棄されていて提供できない場合、住所変更登記の場合同様、登記済証等の提供も想定されているようです。


申出情報には、上記の検索用情報のほかに


⑴代理人による申出の場合は代理人に関する情報


⑵申出の目的


⑶申出をする不動産の情報(1つの申出で複数の管轄に属する不動産をまとめて申出することも可能)


⑷申出人又は代理人の電話番号等の連絡先


⑸上記②及び該当する場合は③を検索用情報申出添付情報とする表示


⑹申出の年月日


⑺提出先の法務今日の表示


を記載する必要があります。


なお、申出の方法については、⑶記載の不動産の管轄の法務局に書面又は電子申請のどちらかで行うことになります。


詳しい手続きは、「検索用情報の申出について(職権による住所等変更登記関係)」をご覧ください。


※下部のリンク参照

《新たに所有権の登記名義人になる登記の申請と同時の申出(検索用情報同時申出)》


従来の登記申請の際に、新たに検索用情報を追加することになります。


詳しい手続きは、「検索用情報の申出について(職権による住所等変更登記関係)」をご覧ください。


※下部のリンク参照

《申出手続が完了した旨の連絡》


法務局における申出手続きが完了すると、申出情報に記載したメールアドレス宛に次の内容が記録された電子メールが送られることになります。


①申出手続が完了した旨


②法務局で立件した年月日と立件番号


③不動産番号


④認証キー(メールアドレスの変更の際に使用します)


⑤申出を受けた法務局の表示


申出の際にメールアドレスの提供がなかった場合は、申出手続き完了通知書という書面が交付されます。

《メールアドレスの変更または削除の申出》


メールアドレスの変更または削除をするには、書面で申出をすることになります。


管轄は特にありませんので、所有する不動産の管轄ではない法務局でも申出が可能です。


詳しくは、「不動産登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(通達)」の第2部の第4を参照してください。


※下部のリンク参照

過料に処される場合とは

《過料に処されるケースを考える》


以下は、私の推測です。


過料に処される場合とは、法務局が義務違反を探知して、地方裁判所に通知が出される場合だと思います。


では、法務局が義務違反を探知し得る場合とはどういう場合なのでしょうか?


これは、そのことが判然とする登記申請又は申出があった時ではないかと思われます。


法務局としては、住基ネットにアクセスする権限はあってもそれを常時監視するほど暇ではないように思われます。


また、システム上それを可能にできる状況にないからこそ、職権登記の前提として検索用情報の申出手続があるのではないでしょうか。


そうなると、令和8年4月1日(改正法施行日)時点で登記記録と住民票の記載が異なる方は、同日から2年を経過するまでに、①不動産を売却する、②住所等の変更登記をする又は③検索用情報の申出をするなどしないと過料に処される可能性があると思われます。


2年経過後に検索用情報申出手続をした場合、職権登記はしてもらえても、過料に処されてしまうのではないでしょうか。


ただし、登記申請等を行わないまま相続が発生した場合はどうなるのでしょうか?


過料に処されるべきは登記名義人として記録されている被相続人であると考えれば、相続人に過料が処されるはずはないだろうと考えたいところですが、こればかりは法務局に聞いてみないと分かりません。

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中浦和司法書士事務所

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