【登記実務の変更点③】「民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(令和5年4月1日施行関係)」より〈法定相続分で相続の登記がされた後の所有権更正登記手続きの簡略化〉

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【登記実務の変更点②】に引き続きとなります。

今回も、令和5年3月28日付け法務省民二第538号法務省民事局長通達の中で登記申請手続きが変更された点を確認していきたいと思います。

2回目は、当初法定相続分で相続の登記がされた後、遺言の発見や遺産分割協議等によって所有権更正の登記手続きが必要になった際、運用により登記権利者からの単独申請が可能になったことについてです(※法律等の改正による変更でなく、あくまでも共同申請の原則における運用上の例外として本通達で認められた取扱いです。)。


⑴ 単独申請が認められる場合

ア) 法定相続分で相続登記がされていること

イ) 既に登記された相続人を登記権利者とするもので登記の前後を通じた同一性が認められること(更正登記が認められるケースであること)

ウ) 次の場合のいずれかに該当する更正登記であること

・遺産分割の協議、審判又は調停による更正

・相続放棄がされたことによる更正

・特定財産承継遺言による更正

・相続人を受遺者とする遺贈の登記への更正


エ) 登記上の利害関係を有する第三者があり場合にその者の承諾があること

⑵ 登記原因は「錯誤」ではない

次の振り合いによることとなります。

・年月日(※成立日)遺産分割

・年月日(※受理年月日)相続放棄

・年月日(※相続と同じ日付)特定財産承継遺言

・年月日(※相続と同じ日付)遺贈


⑶ 登記原因証明情報は登記原因に応じた通常の書面

各事由に応じた登記原因証明情報が必要になる点は従来どおりです。

また、単独申請となるので登記義務者に関する書類は一切不要となります。


⑷ 申請情報には登記義務者の氏名及び住所が必要

当然のことながら所有権更正登記になりますので登記義務者も申請情報となりますが(不動産登記令第3条第11号イ)、登記記録と一致しない場合は、前提として登記義務者になる者からの登記名義人表示変更(又は更正)の登記が必要になります(登記権利者も同様です。)。


⑸ 登記官から登記義務者に対する通知の発出がある

登記官がやることなので申請者側でやることは何もありません。また、申請内容に対し登記義務者から異議等があったとしても、事件処理に影響はありません。


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