【登記実務の変更点②】「民法等の一部を改正する法律〔※令和3年法律第24号〕の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(令和5年4月1日施行関係)」より〈相続人に対する遺贈の登記手続の簡略化〉

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【登記実務の変更点①】に引き続きとなります。

今回は、令和5年3月28日付け法務省民二第538号法務省民事局長通達の中で登記申請手続きが変更された点を3回に分けて確認していきたいと思います。

1回目は、相続人を受遺者とする遺贈の登記が、受遺者単独申請で可能となったことについてです。


⑴ 遺贈による所有権の移転の登記の原則的な取扱い

遺贈の登記は、不動産登記法第60条の規定により、登記権利者及び登記義務者が共同して申請する登記です。なお、登記申請手続きは、遺言執行者がいる場合とそうでない場合で、登記義務者となる申請人が異なります。

ア) 遺言執行者が置かれている場合

「遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有」しており(民法第1012条第1項、なお民法改正前は「遺言の内容を実現するため」という文言はありませんでした。)、遺贈の登記の申請においては登記義務者となります。 なお、民法改正により同条第2項に「遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。」という条文が追加されましたが、これは判例で判示された内容を明文化したものです(「一問一答新しい相続法」P114)。


イ) 遺言執行者が置かれていない場合

遺贈者の登記義務を承継した相続人全員が登記義務者となります(民法第896条)。


⑵ 受遺者が相続人の場合の例外的な取扱い

不動産登記法第63条は、同法60条で規定する共同申請の原則に対する例外として単独申請ができる場合を定めた規定です。不動産登記法の改正により第3項が追加されたことにより、同項の規定で受遺者を相続人とする遺贈の登記の場合も登記権利者である受遺者からの単独申請が可能となりました。


⑶ ⑵の場合の添付情報

ア) 登記原因証明情報

・遺言書

・遺言者の死亡の記載のある戸籍事項証明書

・遺言者の本籍の入った住民票の除票又は戸籍の附票の除票の写し


イ) 住所証明情報

ウ) 代理権限証明情報(ただし、代理人からの申請の場合。)

※  単独申請となることから、登記義務者の印鑑証明書や登記識別情報は当然不要となります。


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