所有権の登記名義人の登記事項に追加された法人識別事項と国内連絡先事項について

query_builder 2024/04/28
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(通達発出の経緯)


民法等の一部を改正する法律(令和3年4月28日公布)の中で不動産登記法に第73条の2(所有権の登記の登記事項、令和6年4月1日施行)の条文が設けられ、それを受けて政令である不動産登記令の改正(令和5年10月4日公布、令和6年4月1日施行)の中で第3条11号ト⑴(法人識別事項)及び⑵(国内連絡先事項)の条文が設けられ、更に省令である不動産登記規則の改正(令和6年3月1日公布、令和6年4月1日施行)の中で第157条の前に第156条の2~9の条文が設けられる等の改正がされたことにより、「民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(所有権の登記の登記事項の追加関係)」(令和6年3月22日付け法務省民二第551号法務省民事局長通達)が発出されました。


(申出に基づく職権登記)


不動産登記法第16条第1項には「登記は、法令に別段の定めがある場合を除き、当事者の申請又は官庁若しくは公署の嘱託がなければ、することができない。」と規定されているので、新たに登記事項とされたものは原則として申請等で登記されることになりますが、新たな申請等を待たずに登記官による職権登記を可能とするためには、法令の別段の定めが必要となります。本件では、既に登記されている内容に当該登記事項だけを追加する手続が法令の別段の定めとして用意されており(改正法附則第5条第5項、改正省令附則第2条第18項)、所有権の登記名義人からの申出があれば、登記官が職権で当該登記事項を登記することができることになっています。


(申請手続の特記事項)


ここでは、本件通達で示された申請手続きにおける特記事項を中心に確認していきたいと思います。


1 本通達で示された所有権の登記名義人の登記事項(→申請情報の内容となる)の例(本通達別紙1~3参照)


⑴ 会社法人等番号がある法人の場合(法務局に登記されている法人の例)

(登記事項の例) 所有者 〇〇市〇〇町〇番地

          〇〇〇〇株式会社

          会社法人等番号 0100-01-123456 ←【法人識別事項】  


⑵会社法人等番号がない外国法人の場合(法務局に登記されていない外国法人の例)

(登記事項の例) 所有者 〇〇国〇〇州〇〇通り

          〇〇〇〇コーポレーション

          設立準拠法国 〇〇国〇〇州  ←【法人識別事項】          国内連絡先 〇〇市〇〇町〇番地 ←【国内連絡先事項】           法 務 太 郎


⑶⑴及び⑵に該当しない法人の場合(法務局に登記されていない国内法人の例)

(登記事項の例) 所有者 〇〇市〇〇町〇番地

          〇〇〇〇組合

          設立根拠法 〇〇法 ←【法人識別事項】


⑷国内に住所を有しない自然人の場合で国内連絡先となる者がいる場合

(登記事項の例) 所有者 〇〇国〇〇州〇〇通り

          ジョン・スミス(JOHN SMITH)     ←【ローマ字氏名】          国内連絡先 〇〇市〇〇町〇番地(A営業所)   ←【国内連絡先事項】           〇〇〇〇株式会社

          会社法人等番号 0100-01-123456 ←【法人識別事項】


⑸国内に住所を有しない自然人の場合で国内連絡先となる者がいない場合

(登記事項の例) 所有者 〇〇国〇〇州〇〇通り

          ジョン・スミス(JOHN SMITH) ←【ローマ字氏名】          国内連絡先 なし            ←【国内連絡先事項】  


⑹所有権の変更の登記により法人識別事項が追加される場合

(登記事項の例) 原因 令和〇年〇月〇日設立準拠法国変更

         法人識別事項 設立準拠法国 〇〇国〇〇州


2 登記申請の際に添付すべき「法人識別事項を証する情報」(本通達第2部第1の3)


⑴設立準拠法国を証する情報

・設立準拠法国政府の作成に係る住所を証明する書面の写し(令和5年12月15日付け法務省民二第1596号通達参照)

・設立準拠法国政府の作成に係る書面の写し

※設立準拠法国として明記されていなくても法人住所を置いた国と証明書を発行した国が同一の場合は設立準拠法国を証する書面に該当する。

※所有権の登記名義人となる者等が申請人とならない場合は、政府作成書面等の提供が困難と思われるため、その理由等を明らかにする情報を提供することになる。その際、登記官がその内容を相当と認めた場合は、「設立準拠法国 不詳」と登記されることになる。


⑵設立根拠法を証する情報 ・公務員が職務上作成した法人の名称、住所及び設立根拠法を明らかにした情報

※証明書中に設立根拠法が明記されていなくても差し支えない。

※法人の名称から設立根拠法が特定できることをもって設立根拠法を証する情報とすることができる。


⑶その他

・同一の不動産の登記記録中に既に法人識別事項が登記されている法人について新たに法人識別事項を提供すべき登記を申請する場合は、その添付を省略できる。なお、その際の添付情報の記載は、「法人識別事項を証する情報(添付省略)」となる。

・所有権の登記名義人がする法人識別事項の変更または更正の登記は単独申請となるが、所有権の変更または更正の登記となるため、登記原因を証する情報が添付情報となる。


3 登記申請の際に添付すべき「国内連絡先事項を証する情報」(本通達第2部第2の3)


⑴国内連絡先となる者が自然人の場合

①国内連絡先となる自然人の氏名及び住所を証する情報

ア)印鑑証明書、イ)住民票の写し、ウ)戸籍の附票の写し、エ)法人の登記事項証明書等の公的書面等

※自然人の氏名並びに事務所等の所在地及びその名称を国内連絡先とすることができる。その場合は、それらの事項が記載された、不特定多数の者に示すことを目的とした書面(ホームページを出力したものやチラシ、書籍の写しなど)又は公的書面等の写し等であって原本に相違ない旨の記載があり、国内連絡先となる者が署名又は記名押印(オンラインの場合は電子署名)したもの。

※電子署名から①の内容が明らかになる場合はその提供を持って代えることができる。

②国内連絡先となる者が作成した国内連絡先となる旨の承諾を証する情報 ・作成者が記名押印した書面及び印鑑証明書(オンラインの場合は電子署名)

※作成者が署名した書面に公証人が認証した場合は押印及び印鑑証明書は不要。

※弁護士会及び司法書士会が作成した職印証明書も印鑑証明書となる。また、職務上の氏名で印鑑証明書が発行され上記①の氏名と一致する場合は、その氏名で登記することができる。  


⑵国内連絡先となる者が法人の場合

①国内連絡先となる者が法人の名称及び住所(支店又は日本における営業所を指定する場合は、法人の名称並びに支店等の所在地及び支店等である旨)

・会社法人等番号(申請情報としての提供で代えられるため、添付情報の記載は「国内連絡先事項を証する情報(省略)」となる。)

※法人の名称並びに営業所等の所在地及びその名称を国内連絡先とすることができる。その場合は、営業所等の名称が記載された、不特定多数の者に示すことを目的とした書面(ホームページを出力したものやチラシ、書籍の写しなど)又は公的書面等の写し等であって原本に相違ない旨の記載があり、国内連絡先となる者が署名又は記名押印(オンラインの場合は電子署名)したもの。

②国内連絡先となる者が作成した国内連絡先となる旨の承諾を証する情報

・作成者が記名押印した書面(オンラインの場合は電子署名)。

※外国法人の国内の営業所又は登記された外国法人の日本における代表者が国内連絡先となる場合は、承諾を証する情報は不要となり、添付情報の記載は「国内連絡先となる者の承諾を証する情報(省略)」となる。


⑶国内連絡先となる者がいない場合の国内連絡先となる者がいない旨を証する情報

・所有権の登記名義人となる者等の署名又は記名押印がされた上申書と印鑑証明書(オンラインの場合は電子署名)

※所有権の登記名義人となる者等が申請人とならない場合は、提供を省略できる。その場合の添付情報の記載は、「国内連絡先事項を証する情報(省略)」となる。


⑷国内連絡先事項の変更または更正の場合

・所有権の変更または更正の登記となり所有権の登記名義人の単独申請となるが、登記原因を証する情報は添付情報とならない。

・当該登記は既に登記されている国内連絡先となる者からも単独申請できるが、この場合は所有権の登記名義人の承諾を証する情報を提供する必要があるが、印鑑証明書又は電子署名の提供は不要となる。

・国内連絡先となる者の氏名又は名称並びに住所等が変更または更正となる場合は、同人の承諾を証する情報の提供は不要となる。

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中浦和司法書士事務所

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