(通達発出の経緯)
不動産登記規則が令和6年3月1日に改正され同年4月1日から施行されることに伴い、「不動産登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(旧氏併記関係)」(令和6年3月27日付け法務省民二第553号法務省民事局長通達)が発出されました。
本通達は、今回の不動産登記規則の改正により追加された、第2款の4旧氏の併記(第158条の34~第158条の37)に関するものです。
(申出の手続きについて)
それでは本通達の内容のうち申出手続きに関する部分を確認していきます。
⑴旧氏が併記された登記事項(→登記申請に伴う申出の場合は申請情報の内容となる)
所有者 〇〇市〇〇町〇番地
法 務 花 子( 法 務 花 子 ) ←括弧内が旧氏による氏名
※併記される旧氏については、不動産登記法第16条第1項において「登記は、法令に別段の定めがある場合を除き、当事者の申請又は官庁若しくは公署の嘱託がなければ、することができない。」と規定されているにもかかわらず、同法中本件に係る職権登記の規定は見当たりません(なお、不動産登記規則第158条の34第5項には、登記官が職権で登記できる旨規定されています。)。おそらく、登記名義人の氏名を補足する事項とされているからでしょうか。
⑵併記される旧氏について(不動産登記規則第158条の34)
所有権の登記名義人(申請によって新たに所有権の登記名義人となる者を含む。)であって過去に氏の変更があった者は、市町村長その他の公務員が作成した情報(通常は戸籍謄本等だが住民票や電子署名で確認できればそれらも該当する。)を提供して、当該戸籍に記録されている旧氏(登記される氏と異なっている必要がある。)を登記記録中の登記名義人の氏名を補足する情報として併記するよう申し出ることができるようになりました。
※例えば田中花子さんが田中太郎さんと婚姻をして夫の氏を称すると田中花子さんのままとなりますが、戸籍上は夫の氏に変わったことになっています。そのため、こういう氏の表記に変更がないケースは、旧氏併記の意味がないので対象外となります。
※既に登記されている旧氏についての併記の申出の場合は添付情報を省略できる。
※氏の変更等の登記原因証明情報で確認できる場合は、別途添付情報を用意する必要はない。
※電子申請による場合は添付情報の別送方式が認められている。
⑶旧氏併記の申出方法
①登記申請に伴う旧氏併記の申出(同)
・対象となる登記:新たに所有権の登記名義人となる登記又は登記名義人の氏名変更等の登記の申請をする際に申出をする場合。
・申出方法:申請情報が申出の内容となる。登記名義人の氏名に括弧を付して括弧内に旧氏と名を記載して行う。旧氏が複数ある場合であっても記載する旧氏は一つだけ(古い方でも構わない。)となる。
※既に旧氏併記がされている場合の登記名義人の氏の変更等の登記申請をする場合は、旧氏併記の申出がなければ旧氏が登記されることはない。
※既に旧氏併記がされている場合の登記名義人の氏の変更等の登記申請をする場合は、旧氏併記の申出がなければ旧氏が登記されることはなく、その際の旧氏は以前と同一又はそれよりも後の旧氏でなければならない(変更等によって以前より古い旧氏を併記する申出というものは認められない)。
②登記申請を伴わない旧氏併記の申出(同条の35)
・申出ができる場合や申出ができる旧氏については①の場合と同様
・申出情報:(ア)申出人の氏名及び住所、(イ) 代理申出の場合代理人の氏名及び住所(法人の場合は代表者の氏名)、(ウ)申出の目的(何番所有権登記名義人表示変更)、(エ) 所有権の登記名義人の氏名、(オ)所有権の登記名義人について記録すべき旧氏((エ)の氏名に括弧書きで旧氏及び名を併記する方法による。)、(カ) 申出に係る不動産の不動産所在事項又は不動産番号、(キ)申出人または代理人の電話番号等の連絡先、(ク) 旧氏併記申出添付情報の表示、(ケ) 申出の年月日、(コ)登記所の表示
・申出方法:電子申出または書面申出
※一の不動産及び所有権の登記名義人ごとに申し出ることになるが、登記申請の一の申請の取扱い同様に二以上の不動産について申出をすることができる。
※代理人による場合は代理権限証明情報が必要だが、作成者の電子署名、署名又は記名押印は不要。
※電子申出の場合の添付情報(別送方式を除く)には作成者の電子署名が必要。
※代理人の資格証明情報については会社法人等番号があればその提供で代えられる。
※申出情報に電子署名、署名又は記名押印は不要(司法書士が作成した場合は電子署名又は司法書士の職印の押印が必要)。
※その他登記申請におけるのと同様のルールが適用される。
⑷旧氏併記の終了申出(同条の36)
旧氏が併記されている所有権の登記名義人は、旧氏併記を希望しなくなった場合その旨を申し出ることができます。
①申出情報:(ア)申出人の氏名及び住所、(イ) 代理申出の場合代理人の氏名及び住所(法人の場合は代表者の氏名)、(ウ)申出の目的(何番所有権登記名義人表示変更)、(エ) 所有権の登記名義人の氏名(氏名に旧氏及び名を併記しないことをもって旧氏の記録を希望しない旨を明らかにすることとなる。)、(オ)申出に係る不動産の不動産所在事項又は不動産番号、(カ)申出人または代理人の電話番号等の連絡先、(キ) 添付情報の表示(住所が相違する場合は所有権の登記名義人と同一人であることを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報が必要)、(ク) 申出の年月日、(ケ)登記所の表示
②申出方法は旧氏併記の申出と同様
中浦和司法書士事務所
住所:埼玉県さいたま市桜区西堀2-19-15アイセイマンション203
電話番号:048-762-3407
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